ウェブサイトを運営していると、
「このサービスだけ別のサーバーで動かしたい」
「特定のコンテンツはより高速な環境で提供したい」
といったニーズが出てくることがあります。
そんな時、サブドメインを別のサーバーに設定するという方法が有効な選択肢となります。
例えば、ブログ(blog.example.com)は現在のサーバーで運用しつつ、
オンラインストア(shop.example.com)だけ高性能な別のサーバーで構築するといったことが可能になります。
これにより、リソースを効率的に配分し、ユーザーエクスペリエンスの向上にも繋げられる可能性があります。
しかしながら、
この便利なサブドメインの別サーバー設定は、すべてのレンタルサーバーやDNSサービスでサポートされているわけではありません。
設定しようとしたら、サーバーやDNSの仕様によって「対応していません」と困ってしまうケースも少なくないのです。
この記事では、サブドメインを別サーバーに設定する一般的な方法を解説するとともに、もしお使いの環境が対応していない場合にどのような選択肢があるのかについても触れていきます。
サブドメインとは?基本を理解しよう
サブドメインとは、メインのドメイン(例えばexample.com)の前に別の文字列を加えたもので、blog.example.comやshop.example.comのように、異なるコンテンツやサービスを分けて管理する際に用いられます。
ドメインの構造を柔軟に使えるため、企業サイトや個人ブログなど、さまざまな場面で活用されています。
多くの場合、
サブドメインは同一のサーバー内で管理されることが前提となっており、レンタルサーバー各社もこの構成を基本にサービスを設計(ボタン1つで設定が可能)しています。
そのため、別サーバーでサブドメインを運用するには、追加のDNS設定やサーバー側の柔軟な対応が求められるケースがあることを理解しておきましょう。
サブドメインとサブディレクトリの違い
ウェブサイトの構造を考える上で、「サブドメイン」と「サブディレクトリ」は非常によく似た概念ですが、その役割と扱われ方には明確な違いがあります。
サブドメインは、メインのドメイン名の前に付加される独立したドメインとして扱われます。
例えるなら、本社とは別に、同じ会社名を持つ支店のようなイメージです。
例:blog.example.com、shop.example.com
サブドメインは、技術的にはメインドメインとは異なるIPアドレスを持つサーバーを指し示すことができ、異なるコンテンツや全く別のウェブサイトを配置するために利用されます。
検索エンジンからの評価も、メインドメインとは独立して評価される傾向があります。
一方、サブディレクトリは、メインのドメイン名の後ろに「/(スラッシュ)」で区切って作られる、ウェブサイト内の階層構造の一部です。
例えるなら、本社の中にある部署やセクションのようなイメージです。
例:example.com/blog/、example.com/shop/
サブディレクトリは、あくまでメインドメインの下層に位置するため、検索エンジンからの評価はメインドメインと関連付けられると考えられています。
ウェブサイトのコンテンツを整理し、構造を分かりやすくするために利用されます。
特徴 | サブドメイン | サブディレクトリ |
---|---|---|
URL構造 | 〇〇.example.com |
example.com/〇〇/ |
独立性 | 独立したウェブサイトとして扱われる傾向がある | メインドメインの一部として扱われる |
サーバー | 別のサーバーを指し示すことが可能 | 通常はメインドメインと同じサーバー |
SEO評価 | メインドメインとは独立して評価される傾向 | メインドメインと関連付けられて評価される傾向 |
主な用途 | 全く異なるコンテンツや独立したサービス | ウェブサイト内のコンテンツ整理、階層化 |
サブドメインを別サーバーに設定するメリット
サブドメインは通常、メインドメインと同じサーバー内で運用されるケースが多いですが、運用規模の拡大や機能の分離が求められる場面では、別サーバーに割り当てるという選択が効果的です。
特に、アクセス負荷の軽減や運用の自由度向上といった面で大きな利点があります。
1.負荷分散ができる
サブドメインを別サーバーに設定することで、Webサイト全体の負荷を分散できます。
例えば、メインサイトとブログ機能を異なるサーバーで運用することで、アクセスが集中してもそれぞれのサーバーが独立して処理できるため、表示速度の低下やサーバーダウンのリスクを軽減できます。
2.障害発生時の影響を最小限にできる
別々のサーバーで運用していることで、片方のサーバーにトラブルが発生しても、もう一方のサーバーは通常通り稼働することができます。
たとえば、ECサイトとサポートページを分離していれば、障害が起きても顧客対応を継続できます。
3.用途ごとに最適なサーバー構成が選べる
サービスやコンテンツの内容によって、求められるスペックや環境が異なる場合があります。
サブドメインごとに適したサーバーを選定することで、コストパフォーマンスと運用効率の最適化が可能です。
動画配信や大容量データの処理など、専用サーバーの導入も容易です。
4.開発・運用チームを分離しやすい
部署やプロジェクトごとに独立した開発・運用を行いたい場合、サブドメインを別サーバーに分けておくと便利です。
管理者権限やアクセス権も明確に分けられ、セキュリティ面でも有利です。
また、他社に一部サービスを委託する場合にも柔軟に対応できます。
サブドメインを別サーバーに設定する方法
サブドメインを別サーバーに割り当てることで、Webサイトの運用を柔軟かつ効率的に行うことが可能になります。
今回は、
- ドメイン管理を「お名前ドットコム」
- ルートドメイン(aaa.com)を「エックスサーバー」で運用中
- サブドメイン(sub.aaa.com)を「さくらインターネット」に新規設定
ルートドメイン(aaa.com)をエックスサーバーで運用している状態から、サブドメイン(sub.aaa.com)をさくらインターネットで運用するケースを例に、具体的な設定手順を紹介します。
各社のサービスを跨いで運用するには、DNS設定やサーバーの受け入れ準備など、いくつかのポイントを押さえる必要があります。
設定方法を要約
まず、イメージを共有する意味で、設定を要約すると
①お名前ドットコム
・AコードをさくらインターネットのIPアドレスに設定
②エックスサーバー
・サブドメインを設定
・サブドメインのDNSをさくらインターネットのIPアドレスに設定
③さくらさくらインターネット
・サブドメインを設定
になります。
①ドメイン「お名前ドットコム」で行う作業
サブドメインであるさくらインターネットのIPアドレスを確認し、Aコードに登録
②「エックスサーバー」で行う作業
・サブドメイン(sub.aaa.com)を設定追加
・サブドメインのDNSレコード追加
sub.aaa.com
種別A:さくらインターネットのIPアドレス
③サブドメイン(sub.aaa.com)を「さくらインターネット」で行う作業
サブドメイン(sub.aaa.com)を追加
基本的に上記の設定で、
さくらインターネットでサブドメイン(sub.aaa.com)が利用できます。
*SSL証明書設定も可能です。
初めて、サブドメインを別サーバで設定する場合は、
上記で説明した通り、設定がシンプルが、エックスサーバーが使いやすいと思います。
・国内シェアNo.1を誇るエックスサーバー
・エックスサーバーのVPS(仮想専用サーバー)サービス
上記設定をベースにさくらインターネットも契約なら
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サブドメインを他のサーバに設定する時の注意点
サブドメインを別のサーバーへ移行するという作業は、ウェブサイトの構成を最適化する上で有効な手段ですが、その際にはいくつかの重要な注意点があります。
特に、利用するサーバーの種類や提供事業者によって、サブドメインの設定方法が大きく異なるという点は、必ず理解しておかなければなりません。
例えば、さくらインターネットとエックスサーバーが逆になっただけでも、サーバによる特色が設定の邪魔をします。
- ドメイン管理を「お名前ドットコム」
- ルートドメイン(aaa.com)を「さくらインターネット」で運用中
- サブドメイン(sub.aaa.com)を「エックスサーバー」に新規設定
の場合、
さくらインターネットは、
wwwのあり・なしを厳密に設定する必要があります。
そのため、www.sub.aaa.com にAレコードを設定するか
もしくは、「www.が付与されたサブドメインも利用する」のチェックを外す(↓)
等の必要があります。
サーバによっては、別サーバーでの利用ができない場合も
サーバーによっては、サブドメインのDNSレコードを自由に追加できないケースもあります。
特に、共有サーバーや簡易的なレンタルサーバーでは、DNS設定に制限がかけられており、サブドメインを他のサーバーで利用するための設定(例:AレコードやCNAMEの追加)が行えないことがあります。
Xサーバは問題ありませんが、ロリポップサーバ等は利用できません。
そのため、サブドメインを別サーバーで運用したい場合は、あらかじめ使用中のサーバーがDNSレコードの個別追加に対応しているかを確認することが重要です。
サブドメインを別サーバーに設定:記事まとめ
サブドメインを別サーバーに設定するには、DNSレコードの編集が必要であり、サーバーごとに対応状況や設定方法が異なります。
特に、DNS機能に制限があるサーバーでは、希望通りの運用ができない場合もあるため、事前の確認が重要です。
本記事を参考に、自身の環境に合った設定方法を選び、スムーズなサブドメイン移行を実現しましょう。
【参考サイト】
エックスサーバー(Xサーバ)
・国内シェアNo.1を誇るエックスサーバー
・エックスサーバーのVPS(仮想専用サーバー)サービス
さくらインターネット
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